審査員からのコメント

JINEN GALLERY かんの自然さんより

幻想世界に留まりたいという思いと
そのままではいられないという自信へのメタ視点からの問いかけ。
うさぎは幻想の象徴として、月は満ち欠けする時の象徴として描かれ
その狭間の少女は目覚めようとしているのかもしれない。

もちろん幻想世界を他者が外部から目覚めさせることは無粋だと思いますが
作家自身の成長が内側に留まることより、その外側に視線を向けて新たな進化を予感させます。
そこを評価しました。
作家のステートメントにもあるように
『静かに夜明けは近づいてきている』
夜明けの先には、更なる幻想世界が広がっているのか。
実社会の隠喩としての幻想世界なのか。
様々な想像が膨らみます。

今回の公募展の名称でもあり、テーマでもある、novae(新星たち)
それ以上の高み目指して欲しいと思います。期待しております。
この賞が作家の一助になれば幸いです。

JINEN GALLERY かんの自然


大槻香奈さんより

特別賞の臼杵寿子さん、審査の途中に会場を何周もして、何か心にずっと引っかかって、
気付いたら鑑賞に夢中になっていました。神戸の六甲おみやげ館のテラスから市街地や海が
見えたことで泡のイメージを重ねたとのこと。題材として選ばれた場所の「なぜ?」から始まり、
キャプションにあった作家の言葉「本当に泡だらけになれば片付けが大変だろうけれど、きっと
泡に触れたい気持ちを抑えられないだろうな」という言葉に、いや…それはわかるんですけど、
それにしても!(なぜこのような絵になったの?)と思わずにはいられない気持ちで、絵の中に
ある解けない謎がなんだか夢のように心地よく、制作の動機の不思議な理由に好奇心が止まりませ
んでした。それによく見てみると、一見すなおな風景画のようにみえて、細かい部分の描写に拘りが
あることにも気付かされました。雰囲気に頼る部分とそうでない部分のバランスにおおよそ自覚的で
あることも伺え、絵作りに好感が持てました。ほかにどんな作品を制作されているのかも気になって
仕方がありません。アートやイラストという言葉を超えて、 臼杵さんが純粋に気に留めた世界を絵を
通して今後も見ていきたいと思い、選ばせていただきました。

「novae」コンペティション出展作品全体の印象としては、みなさん活動の何かひとつのきっかけに
なればという思いがひしひしと伝わってくるものばかりで、今回は残念ながら賞に至らなかった方の
中にも、熱を持って語りたくなる作品があり、審査中も非常に刺激的でした。この度出会った気に
なる作家さんたちの活動を今後も追っていきたく思います。

大槻香奈








【出展者】
kakeru |  菅野 叶玲 |  Monzo渡邉 |  国吉真宏 |  卯月 螢 |  福島 奈巳 |  yukikomado |  栗原光 | 
BerryEyedWhite |  MIYUKI UMEZAWA |  金子一生 |  辻井 英里 |  鳥居 純子 |  足田 有 |  kNOB O'Hara | 
暖簾 |  石川結貴 |  音羽しょうこ |  藤高 昇太  |  ケビンばやし |  杉本憲一 |  森田攝子 |  ウエバヒロコ  | 
みかちん |  DADA |  小川美木 |  はるはな こえり |  蛛@基己 |  P 実穂子 |  あの子 |  佐藤 哲哉 | 
田中巳桃 |  淡路菫 |  Miyabi Starr |  臼杵寿子 |  野上爽 |  MAHANA |  石倉かよこ |  安眠第一 |  夜想ゆにこ




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