審査員からの講評

かんの自然 氏(JINEN GALLERY 代表)

菅野叶玲さん
他者への理解は複雑で、個々の状況も様々なので人それぞれと言ってしまえばそれまでですが、
人間関係における深い傷や伝えることへの疲れ、そして諦めが常に伴う社会の中で、
僅かな希望を見て身体を引きずるように前に進む黒い姿が印象に残る作品でした。
一見閉じられた暗い世界に見えますが、それでも歩みを止めない部分を評価させていただきました。

橋本真保路さん
友禅という伝統技法を用いて、見落としてしまいそうな日常風景を色鮮やかに描いた作品は、心地よい印象を与えました。
混沌とした現代社会の中で、些細なことで崩れ去ってしまいそうな日常を鮮やかに描き出していると感じました。
暗く沈んだ世界に対し、脳裏にある明るい記憶を引き出そうとする力を評価させていただきました。

大槻香奈 氏(現代アート作家)

橋本真保路さん
シンプルながら作家が込めたであろう祈りに似た優しさが、じんわりと持続性をもって伝わってきます。
絶妙にデザイン的ではない落とし所が随所に感じられ、この絵画的な可能性を信じたいです。今この厳しい時代に、
自然と街を伸びやかに描ける感受性をこれからも大切にして欲しいですし、作品に関しては大きなサイズ展開や
ドローイングなど、同じテーマで色んな形態が見れると可能性が広がりそうだと期待します。

菅野叶玲さん
作品をパッと見た時に「なんだろう?」と引き込まれる感覚がありました。まずは風景の繊細なグラデーションが美しく、
ただただ静かに風景と向き合い描かれているところが、鑑賞者の感情の揺れを受け止めるようでもあり、良かったです。
この絵において、人物の描かれていることがとても重要に思いました。人が存在することで風景に込められた(かと思われる)
祈りの在処を感じられるようです。今後の作品展開がどのような方向性になるのか、更に人物の行先に踏み込んだ表現が見てみたい気持ちです。




【novae 2023 出展者】
菅野 叶玲 | やまざきなな | 常友しのぶ | 璃維子(RITSUKO) | 水島理江
tashiba.mafuo | 笠原 彰人 | 晴羽街子 | 高橋 すぐ丸 | 橋本 真保路
nakachan13 | 梅津 秀行 | 西浦慶一郎 | 前川 久美子 | ハヤサキ オシロ
蛭田憲一 | 日隅朱音 | とつくに奏 | やあべそい | 辻元美穂
河野菜穂子 | 谷上ひかる | 馬田圭佑 | 蜉己 | 村上紗世
Randy TAKAHASHI | P実穂子 | 楽峰 | 水井友仁 | Yoshi-f-Japan
まつうらあやこ | asuka kaneko | 油井 綾子 | 豊田玉之介 | 斎藤眞凜
kotaro yamada | 大原明日香 | YUSUKE NAGASAWA | moka





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