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大槻香奈個展
「生処に帰す」―実感としての生死の先に―
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2014/1/14(tue) - 2/9(sun)
11:00-20:00 最終日は18:00まで
B1F artcomplex hall
レセプションパーティ 1月18日 17:00〜19:30
月曜休館
大槻香奈個展 プレスリリース
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このたび、The Artcomplex Center of Tokyo(ACT)では、2014年1月14日(火)−2月9日(日)の期間で、大槻香奈 個展 “「生処に帰す」―実感としての生死の先に―”を開催致します。
大槻は、少女をメインのモチーフに、混沌とした社会の中で生きる私たちに作家自身の内面や心情・意思を投影して訴えかける作品を2007年から現在に至るまで発表し続けており、表現力や発信力、唯一性が備わった作家といえます。また、作家活動と並行して、書籍やCDなどの装 幀画を手がけるなど、イラストレーターとしても幅広く活動しています。
今回の展覧会では、100坪を有するartcomplexhallをフル活用し、30号から100号の大作をはじめ、大槻の象徴とも言えるポートレートシリーズなど、過去作から新作までの流れを一気に展示します。そして、2014年の年明けに、今までとは異なり新しい試みを施した新作を皆様にご紹介致します。
さらに本展では、何度か共に作品の発表をしている“Calmloop”の映像作品を同会場にて特別上映し、展覧会コンセプトの「時の流れの表象」を、大槻とは異なったアプローチで皆様にお楽しみ頂きたいと思います。
「今」注目すべき作家である大槻香奈の、史上最大規模の個展です。是非ご高覧ください。
「生処に帰す」―実感としての生死の先に―
蝶の蛹について考えている。青虫と蝶は生存戦略の全く異なる生物であり、蛹になる事で青虫としての死のかわりに蝶という新たな生を手に入れるのだと考えると、蝶は青虫の死後と言える。どこまでが青虫の生で、どこからが青虫の死なのだろうか。そう考えると蛹は「生死の境界に佇む存在」なのだと思えてくる。もしくは「実感としての生死を内包する存在」とも言えるのかもしれない。そのように解釈した時、私は今をとても蛹的に生きていると感じた。
人間という生物は、生きている「事実」の他に、生きている「実感」を得る事を必要としている。そんな訳で、人はしばしば生きながら死んでいたり、死んでいるように生きている事がある。その生の「実感」をいかにして得ているのだろうかという問いと、蝶の一生を照らし合わせるところから、今回の作品制作ははじまった。
蝶の成長過程はとてもシンプルだ。青虫から蛹へ、そこから蝶になって一生を終える。しかし人間は「実感」としてはそうシンプルな構造で死に向かえる訳ではない。例えば「思春期」という観念において。それは一般的に子供の頃のある期間一度きりのものとして認識されているが、個人的には、人は成長しようとする意思さえあれば「子供→思春期→大人」の流れを一生のうちに形を変えて何度もループするものだと考えている。実際的には生から死へと緩やかな時間の流れの中に自分が存在しているのだが、実感としてはそうではない。一生のうちに自分が何度も死に、何度も生まれ変わる。それが生のリアリティだと感じる。蝶で例えるなら、死ぬまでに蛹の時期が何度も訪れるようなイメージなのだ。
個人の生においてだけでなく、戦後、震災後に破壊と生成を繰り返してきた日本都市にもそれと同じような蛹的匂いを感じている。蛹を生きるという感覚は、もしかしたらとても日本的であるのかもしれない。いずれ無くなるという事を理解していながら、半永久的に残す事を目的に創られた建築物に想いを馳せる時、それはまるで自分の人生のようだと感じられた。
蝶を生成し、いずれ死があり、また青虫に戻り、再び蛹になっていく。こう書くと寂しい感じがするかもしれない。しかし人は生きていく上で「何度も蛹になれる」ということ、前とは違う蛹になっていけるということ、その事自体が新しい希望になりはしないだろうか。
作品としては、実際的な生から死への「時の流れの表象」と、実感としての「生死の連鎖」の両観念を落とし込みたいと考えている。
私たちは今どんな理由で、どういった風に何度目かの蛹を生きるのか。作品が、観る人それぞれの「今」と照らし合わせて鑑賞して頂けたのなら幸いに思います。
(※モンシロチョウへの個人的な思い入れにより、本来「幼虫」と記載すべき部分を全て「青虫」としております。
今回の個展タイトルにある「生処(しょうじょ)」とは、仏教用語で死後生まれ変わる場所を意味し、ここでは生命の「実際的な死後」でなく、あくまで「実感的な死後」の意味合いでこの言葉を扱っています。)
2013.10 大槻香奈
大槻香奈 KanaOhtsuki
1984年生まれ、京都在住の美術作家。
少女モチーフを通して、主にアクリル画で現代を表現している。
2007年より活動をスタート。国内外問わず様々な展覧会に参加し、国内では年に約一度個展を行っている。
またイラストレーターとしても活躍の場を広げ、2013年には「ILLUSTRATION 2013」にも掲載されている。
http://ohtsuki.rillfu.com/
【個展】
2007 「再生回路」(大阪/digmeout ART&DINER)
2008 「わたしの海について」(横浜/北鎌倉小舎)
2009 「生み出す無」(東京/The Artcomplex Center of Tokyo )
2010 「すべてになるその前に」(東京/neutron tokyo)
「雲と石」(京都/neutron kyoto)
2011 「乳白の街」(東京/neutron tokyo)
2012 「地平線は羽化する」(京都/くちばしニュートロン)
「母なる水平線」(京都/京都嵯峨芸術大学)
「みんなからのなか」(東京/neutron tokyo)
2013 「みんなからのなか+」(大阪/DMOARTS)
【グループ展】
2007 「digmeout Rides again!」(portland)
「FUNKY802 digmeout EXHIBITION 2007」(Tokyo/Osaka)
2009 「3 Pins On a Map II」(U.S.A portland/Compound Gallery)
2010 「やがて朝がやってきて 昨日沈んだはずの太陽を 今日もまた見ている」大槻香奈 中村至宏(Calmloop)2人展(東京/エカイエ)
「Home, Sweet Home」(東京/newtron tokyo)
2011 「OPEN FACTORY」 (京都/neutron factory)
「来るべき世界」(東京/neutron tokyo)
「アートスロープ展」(東京/渋谷西武百貨店)
「シブヤスタイルvol.5」(東京/渋谷西武百貨店)
2012 「microcosmos⇔universe」(東京/neutron tokyo)
「Kawaii+大賞展」(東京/SPIRAL GARDEN)
「祈らずとも春は来る」大槻香奈 永井綾 中村至宏 3人展(広島/gallery G)
「山本冬彦が選ぶ 珠玉の女性アーティスト展」参加(東京/銀座三越百貨店)
2013 「Kawaii+大賞展」参加(長野/志賀高原ロマン美術館)
「いつかまた会える夏に」武井裕之 大槻香奈 2人展(横浜/北鎌倉小舎)
「言葉のうまれる前に」中村至宏 下田ひかり 大槻香奈 3人展(京都/gallery near)
【イラストレーション】
2007 「株式会社ハピネス計画」平山瑞穂(著)装幀画
「CORE-O-RAMA Vol.2」MOB SQUAD TOKYO CDジャケット画
「アホと呼ばれた80's」岡力(著)装幀画
「厨房ガール!」井上尚登(著)装幀画
「Minami Go! Round! with funky802.com」宣伝ポスター
「りそな銀行 RESONART」キャッシュカード・宣伝ビジュアル
2008 「ランウェイ☆ビート」maha(著)装幀画
2009 「ベイビィ、ワンモアタイム」南綾子(著)装幀画
「sunday girl in silence」KAREN CDジャケット画
「アンを探して」宮平貴子監督・全国公開映画 劇中絵で参加
2010 「eposカード」券面デザイン
2011 「世界のはじまり」whoo CDジャケット画
「Transit Lounge」表紙画、他イラストレーション
「Light Falls」yuxuki waga 動画イラストレーション(初音ミク)
2012 「ラガド 煉獄の教室」両角長彦(著)装幀画
「空が分裂する」最果タヒ(著)挿絵参加
2013 「INNOCENCE」lasah CDジャケット画
「MUSiK Anatomia」kuh CDジャケット画
「ILLUSTRATION 2013」イラストレーターとしての作品掲載
「暗黒女子」秋吉理香子(著)装幀画
「クリュセの魚」東浩紀(著)装幀画
「Super Solo-EP」Hajimetal iTunesイラストレーション
「平成マシンガンズ」三並夏(著)装幀画
Calmloop http://www.calmloop.com
今回は京都在住の音楽ユニットCalmloopの映像作品を特別上映いたします。
Calmloopメンバーの一人である中村至宏は「すべてのものは流れている」無常観をテーマに、
絵画や音楽、映像等の作品制作を行っています。
今回「時の流れの表象」をコンセプトのひとつとして掲げている大槻の個展作品と、
どこか共通の分母を見いだす事が出来るかもしれません。
2013年10月には、下田ひかりや大槻と共に三人展「言葉のうまれる前に」(京都gallery near)
を行い、美術作品を発表しています。 大槻香奈
About Calmloop
2006年結成、中村至宏と坂本豪、サブメンバー*sao*によるアヴァンポップユニット。
音源制作から、絵画や映像などのビジュアルワークまで、ほぼメンバーで完結させる。
ピアノ、ハープ、グロッケン、弦楽器などを用いたクラシカルなサウンドワークからプログレ、オルタナティブ、クラブミュージックの手法などを随所に感じさせるデジタルサウンド。それに波や風、動物の声などさまざまな環境音、ノイズを融解させ、切なく、やさしい、深遠で透明な音世界を紡ぎだすことに成功している。 アヴァンギャルドとポップの心地よい融合。
一曲一曲ジャンルや雰囲気がまったく違うCalmloopの曲は、しかし、聴けば必ずCalmloopだとわかるほど、完成された独自の世界観を感じさせる。
トラックは、繊細で不定形、コンセプチュアルなクリエイティブが得意な中村と、構築的でソリッドなものを得意とする坂本の、タイプの違う2人がファイルセッションを重ね、破壊と再生を繰り返す事によってつくられる。それに女性ボーカル*sao*の清濁のある深く透明な歌声が美しく調和し、唯一無二の音世界を構築している。
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