げみ個展

SOLO EXHIBITION / ACT 5

げみ個展

「うつつの底で」

初個展『雨の花束』から、10年が経ちました。
これまでの10年間は、求められる情景や誰かのための物語を全力で描き続ける、無我夢中の時間でした。
「夢うつつ」のまま、猛スピードで駆け抜けてきたような日々です。

数多くの仕事を重ねる中で、自分にとって「手放していいもの」と「どうしても手元に残しておきたい本質」が、少しずつ明確になっていきました。外部からの評価や一過性のトレンドといったノイズは、長い時間をかけてゆっくりと蒸発していきました。そして、喧騒が消え去った澄み切った底に、重みを持って静かに沈殿したもの。それこそが、どうしても手放せなかった私自身の純度の高い意志——根源的な「光」の表現と、画面上の「質感」への執着でした。

光と粒子、その実体化

本展のタイトル『うつつの底で』には、そうして純度が高まった私の現在地、という意味を込めています。 メインビジュアルに描いた、青いタイルの底で無数の金魚鉢に囲まれ、身を丸める少女。彼女が手の中にある光を静かに見つめている情景は、万人に開かれた表現の場から、最も安全で静謐な深い内面空間へとたどり着いた、今の私自身の姿勢そのものです。そして10周年という節目を迎えた今回、作品を形にする手法において、一つの新しい挑戦をしました。
私はこれまで、「ディスプレイ上で緻密に作り込んだテクスチャが、紙に印刷した途端に平坦になってしまう」というジレンマを抱えてきました。だからこそ、ディスプレイが放つ色彩の鮮烈さをそのまま物理空間に閉じ込めたかのような「アクリルフォト」を、長らく展示の最善の選択肢としてきました。
しかし10年目の今、私はアクリルという透明な壁を取り払い、「UV印刷」という技術を選びました。
キャンバスなどありとあらゆる素材に直接インクの層を積み上げるこの手法によって、私がデジタル空間で描いてきた粒子感や雨粒の膨らみを、ついに「直接触れられる実体」として現実世界に引き出すことが可能になりました。
これは単なる印刷技術の変更ではなく、10年かけて追い求めてきたデジタルの質感を、今の私ができる最も正当な形で現実世界に定着させてみるという、この節目だからこその挑戦です。

10年という時間を経て、ノイズが蒸発した跡に沈殿した表現の核。
外の喧騒を排したこの静かな空間で、新しく獲得した質感とともに、その現在地をお見せします。

ここから始まる次の10年への新たな一歩として、今この瞬間の確かな手触りを、会場で直接確かめていただければ幸いです。

Exhibition Info

VENUE

ACT 5
The Artcomplex Center of Tokyo
東京都新宿区大京町12-9, 2F

DATE & TIME

2026年7月3日(金)—7月12日(日)
11:00 — 19:00
最終日は17:00まで / 月曜休館

ADMISSION

入場無料

グッズ・作品販売あり
オンラインショップは初日17時〜


Online Shop
Special!

5つの展示をつなぐ、
特別な合同本

それぞれの展示世界やアーティストの想いを一冊にまとめた、 会場限定販売の合同本。展示を見たあとに読むことで、 5つの空間がさらに深く繋がる構成になっています。

会場限定 ¥1,650(税込)

Online Shop

イラストレーターズウィーク2026 — 5つの展示空間

TOP PAGE へ戻る