審査員講評

車 洋二 [アートディレクター・KURUM'ART contemporary主宰]

2011年に始まったACT大賞展は今回で16回目となりました。応募作品数も増え続け、今年は165名から211作品の応募があり、1次審査で選ばれた
92名、106作品が2次審査に進みました。作品のレベルもここ数年は飛躍的に高くなっており、今回の審査でも審査員からはレベルが高くて面白い
という感想が聞かれました。それぞれの審査員の好みもあるので、推す作品も温度差がありますが、1位に選ばれた夕映えてシアンさんの作品は
共通して高い評価を得ました。何よりもその圧倒的な迫力が他の作品より抜きん出ていて、表現自体にも独自性が見られたのがその理由だと思います。
2位の泉水仁輪さん、永島愛さんの作品は静かな印象ですが、完成度の高さが評価されました。そのほかの上位入賞者の作品も、
他にはない独自性と完成度がそれぞれ評価された結果だと思います。毎年のことですが2次審査に進まれた92名の作品はどれもほとんど遜色が無く、
賞を逃したということで落ち込む必要は全くありません。自信を持ってご自分の表現を推し進めていただきたいと思います。



O JUN 先生  [東京藝術大学名誉教授・金沢美術工芸大学客員名誉教授・多摩美術大学客員教授]

応募された方々の入選、受賞おめでとうございます。
今年の作品はかこの数年の中で内容、質ともとても高く充実したものでした。油彩、水彩、アクリル、ミクストメディアそれぞれの画材、素材、
組成などよく練られていて魅力ある表現と作品になっていました。
最優秀賞の夕映てシアンさん、おめでとうございます。2点とも豊かな筆触と色彩の重ねや絡み合う力作で高い評価を獲得しました。優勝賞の皆さん、
同立同点の作品が多く出るなど非常にしのぎを削る選考結果となりました。それだけに実力伯仲しておりました。それぞれの表現したい
ことが率直に画材と技法に集中しており単純に比較できない表現世界を見せてくれました。
佳作作品も同様でその差は僅差、やはりどの作品からもたぎるような熱量を感じました。
また今年はこのような盛況を呈するじ現状から新たにギャラリー賞を増設しました。来年もこれを励みにますます制作に力を注いでくださることを
願います。

最後に私個人の感想を少し。
■泉水仁輪さん、抑制と開放が画面を息づかせ、非常に質の高い絵画空間を実現されておられると思います。
■湯浅実奈さん。ファイルの画像では見えない視覚効果があります。反射する表層上の彩色、形の描画がこの画面ととても響き合い、異質感と
心地よさの共生を成功させています。
■伊藤晴香さん。大きな色面が特徴ですが、その色面のなかに描画されている描きと塗りの処方がとても誠実で大きなものの見方とそのための
細部の組成に対して敏感な目と手を持って組み立て広げている作家と思いました。
■永島愛さん。矩形に対してそのリミットの中で尽きない視覚の広がり、奥深さを描き、静かにたぎる絵画空間を実現しています。
■丸山華澄さん。B-12 青い水彩画。星のイメージが全面に広がるか作品。水彩画であるが油彩画と比肩しても見劣らない絵画。天上のイメージを
絵画作品として正面性としてとらえるその試みに対して非常に自由度の高い空間意識を感じた。
■豊田小太郎さん。多少の無理や強引さも含めて「絵の具を筆と手で描く」ことの必然と気力を突きつけて痛快な絵!
■野村史織さんと中浦香与子さん。
二人とももちろんし異なるイメージを描いているが、画面のもつ不思議な空間感がとても深く印象された。月日を超えて何度も見直される世界の
ように思う。
■瑞慶覧沙綾さん。画面の色調に足止めをさせられるとにかく魅力ある絵てだった。人のイメージを線描している描きはやや緊張が見られるが
それ以外の空間の塗りや描きがそれを補い広く深まりと、この絵独特の明度を獲得している。事物を描く時も、周囲の空間を描く筆触に素直に
引かれて描けばよいと思う。イメージは描かれる事物にあるばかりではなく、事物以外の空間、画面の平面上に置かれる筆を通して身体の震えや
滑り、つまづきの痕跡なのだから。
以上気になる作品の小感です。
これからも皆さんの制作を楽しみにしています!



丸山浩司 先生 [多摩美術大学名誉教授]

平面の若手作家を対象としたVOCA展やFACE展の受賞作品には独特の共通点があるように思われます。不思議な空間、得体の知れない生物、
思わせぶりなモチーフ。私には理解し難い作品がいくつか見受けられます。しかし、今回の大賞展に出品された作品はどれも力作揃いで充実しています。
私は抽象系の作家なので、それらに気を取られてしまうことがないように表現の形式よりもそこに描かれている内容に目を向けるように
しました。最優秀賞に輝いた「夕映えてシアン」の作品は生々しい絵の具の流動を効果的に使い躍動感溢れる作品になっているところが優れている
と思います。次点に選ばれた「泉水仁輪」は、淡い色彩で見事に空間表現を実現し、爽やかな作品になっています。同点で選ばれた同じく
次点の「永島愛」の作品は幾層にも重なり合った緑の空間が自然の状況のエッセンスを表しています。「小田優」の透き通った青の空間は宇宙を
思わせ独特の色彩で描いているところに魅力を感じます。

際立った抽象作品の「関戸みな」は幾重にも重なるレイヤーが作品に深みを与え、「高橋歩実」は色彩に類い稀な才能の持ち主であると確信します。
「丸山華澄」の作品はとても繊細なイメージを再現しています。力強い人体表現の「山本玲」、奥深い世界を抽象的に再現した「清水大嗣」、
独特のマチエールが魅力的な「犬丸綾乃」らにも注目しました。その他、受賞した作品群のレベルは全体的にとても高いと感じました。
最後に惜しくも今回受賞を逃した作家の皆さんも実力の差は僅かなので自信を持って制作を続けてほしいと思います。



中川正美 [アートライター]

応募作品はいずれもレベルが高く、最大サイズである30号の作品が多かったことからも、応募者の強い意欲が感じられました。
一次審査を通過した作品の中から受賞作を選考するのは、非常に難しい作業でした。
通過作品の多くには、内省性よりもエネルギーに満ちた、強く訴えかける表現が見られました。二次審査に2作品が選ばれた作家は、
いずれも高い技術力を備え、自身のスタイルを確立しています。そのなかでも、特に鑑賞者を引き込む力を持つ作品の作家が受賞しており、
惜しくも受賞を逃したアーティストにとっては、その差異を今後の課題として捉えることで、今後の活動にとって大きな糧になることでしょう。

個人的には、確かなテクニックを持つ作家の作品が特に印象に残りました。
布コラージュにおいて、色彩のインパクトとキャラクターの構成が見事だったctlxyさん。絵の具の盛り上げ方やストロークの妙が印象的だった
夕映えてシアンさん、Yumieさん。そして、キャラクターの強さがひときわ目を引いた岡村まさをさん。
最終展示からもわかる通り、見応えのある作品が多く並びました。今回制作に取り組まれたアーティストの皆さんが、今後もそれぞれの表現を
さらに追求していかれることを願っています。



伊丸岡美佳 [The Artcomplex Center of Tokyo 代表]

今年の一次審査を通過した約100点の作品はいずれも見応えがあり、順位をつけ難いほど高揚感のある審査となりました。
日常的に多くのアート作品に触れている私から見ても、本年度の作品群は非常に華やかで、ポジティブなエネルギーに満ちていたのが印象的です。
デジタル化が加速し、あらゆる世代がデバイスを通じて画面上の情報だけで満足しがちな現代において、アートはまさに「モノの力」をもって人の
心に訴求する存在です。佳作以上に選出された作品は、いずれも思考の深淵を感じさせるとともに、画材のマチエールを活かした、実体のある
作品ゆえの力強さが漲っていました。
今年で14回目を迎える「ACTアート大賞展」は、主催のアートコンプレックスセンターと共に歩み、成長を続けてまいりました。ギャラリーを
運営する身として、私は「いかに作家の表現を広く届けるか」「いかに足を運んで実物をご覧いただくか」を常に追求しております。
受賞の先には展覧会が控え、個々の表現がより大きな注目を浴びる機会が待っています。表現者の皆様には、今後も画材や技法の探究を怠らず、
思考を深め、強度のある作品制作を続けていかれることを切に願っております。
今回、惜しくも選外となった作品の中にも、人の心を強く惹きつける魅力的な作品が数多く見受けられました。アートコンプレックスセンターでは、
本公募展以外にも多種多様な展示機会を設けております。一度の結果に留まることなく、ぜひ次の表現の場へと積極的にチャレンジし
続けていただきたいと願っております。





【一次審査通過作品】
2026年4月9日(木)〜4月12日(日)の期間、二次審査(最終展示審査)として作品がギャラリーにて展示されます


A-01 鈴木 香織
A-03 清水大嗣
A-04 清水大嗣
A-13 小田心音
A-15 関谷祐子
A-17 田辺修三
A-18 石和田 竜生  
A-19 小田優
A-20 小田優
A-22 油井綾子
A-23 柴田純椰
A-25 isakoisako
A-26 yukko
A-27 橋采子
A-31 鷹木彩乃
A-32 勝亦 瑞穂
A-36 ハルノ
A-38 kobaemi
A-43 纉c 哲誠
A-44 纉c 哲誠
A-46 水野ゆかり
A-47 山本 玲
A-49 山内康嗣
B-02 北川雅光
B-04 豊田 小太郎  
B-06 ZHU RONG
B-11 藤尋樹
B-12 丸山華澄
B-13 丸山華澄
B-14 勝間一衣
B-17 伊吹 拓
B-18 福田澪
B-21 加藤美咲
B-24 鮎魅
B-25 高部志保
B-26 笠原 彰人
B-27 川上貴弘
B-29 宮田 隆
B-30 村島 由里絵
B-31 後藤里佳子
C-02 くまのくまこ
C-03 くまのくまこ
C-08 Anna Miyauchi
C-10 星野海琳
C-11 小島 真綾
C-12 山田晋也
C-16 小西英佑
C-19 瑞慶覧沙綾
C-21 Yumie
C-22 Yumie
C-23 久保 俊太郎
C-24 犬丸綾乃
C-25 宝条なつめ
C-26 emaki
C-27 yakiimonokaori  
C-30 酒井祥子
C-31 大村 正一
C-33 大城 舞華
C-34 大城 舞華
D-02 津乃田ゆらぎ
D-03 中浦香与子
D-06 野村 史織
D-08 夕映えてシアン
D-09 夕映えてシアン
D-10 海下元嗣
D-12 Whodunit
D-13 湯浅実奈
D-17 西村 吉弘
D-19 関戸みな
D-20 伊藤晴香
D-21 三平浩太
D-23 佐藤亜有子
D-25 モリタ モモコ
D-26 加藤 公佑
D-31 伊藤 千恵子
D-32 泉水仁輪
D-33 泉水仁輪
D-34 CaNNNA
D-35 CaNNNA
D-39 かっとし
D-43 かや
D-44 かや
D-45 永島 愛
D-46 Sachikos
D-47 Sachikos
D-49 今井裕基
E-01 王子路
E-02 ctlxy
E-06 虫口夢(バロンド)
E-10 井上 誠
E-11 井上 誠





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