審査員講評

車 洋二 [アートディレクター・KURUM'ART contemporary主宰]

今回もちょうど100点ほどが一次審査を通過して展示審査会場に並びましたが、審査員の中からは今年もレベルが高くて面白い
という声が多く聞かれました。全体を見まわしたところでは、やはり規定サイズ最大の30号の作品が目を引き、小さな作品は
見劣りしてしまいます。是非最大サイズの力作で挑戦していただきたいと思います。今年も独自の表現方法を模索した作品が
多く見られ、とても面白く審査が出来ました。毎年票が割れるのではないかという不安がありますが、予想に反して大変
スムーズな審査となりました。最優秀賞の赤松亜美さんの作品は、作品の前に立つとまるで爽やかな風が吹き抜けるような
感慨を持ちました。審査員それぞれで感じ方は異なると思いますが、審査員全員の高い支持を集めました。優秀賞2位の
神藤リタさん、3位の平田守さんの作品は、共にその独自性の強い表現が高い評価を獲得しました。このほかにもユニークな
作品が多く見られ、賞に選ばれた方はもちろん、残念ながら賞に選ばれなかった皆さんもその差は本当に僅かだったとお伝え
したいと思います。是非今後も独自の表現にこだわり、作品を作り続けていただきたいと思います。継続は力です。




O JUN 氏  [東京藝術大学名誉教授・金沢美術工芸大学客員名誉教授・多摩美術大学客員教授]

たくさんの応募作品を拝見しました。描き方や技法のみならずテーマやイメージもさまざまで、作家の数だけ表現もある
のですからこれは当たり前のことですが、そのどれもが唯一であるならすべてのコンペはとても稀有な状況であると言えるで
しょう。個々の作品の良し悪しは批評やギャラリーや学校、美術機関のなかでは比較や位置付けに伴う一つの評価として行わ
れますが、自分も作家の端くれとしてこの稀有な状況に臨むとまた別な見方をします。作品のサイズ感やフレームの捉え方な
どが気になります。そういうところで自分を足止めさせるものが気になります。自分の現在の制作にどこか重なりながらも、
あきらかに、あるいは決定的に異なるものを見ると他者を強く印象します。”違和感”とか”ヘン”や”モヤモヤ”などは
もはや現在では評価基準になりつつありますが、そこに落とし込むのでもなく、ましてや抽象や具象、巧拙の比較では
もちろんなく、自分以外の誰かによって描かれてつくられていま目の当たりにすることを自分に体験させている『何か』を
探しています。受賞佳作入選落選の別なくそういう作品がいくつもありました。「服」に身体をどのように合わせて着ているか?
(着こなしの見事ではなく…)、それもサイズ感やフレームに触れる要素として興味があるので、それも作品を拝見するよすがにしました。
どうもありがとうございました。

受賞者の皆さんおめでとうございます。
これからも制作に励んでください。

先月お亡くなりになられたも前館長式田さんも皆さんの活躍をとても楽しみにしておりました。今年のアワードを喜んでいると思います。




丸山浩司氏  [多摩美術大学名誉教授]

私は作品で自らの魂を再現し他者へそれをメッセージとして伝えたいと願っています。絵画で何かを表現しようとした時、
基本的なこと、例えば構図とかマチエールとか表現の再現性とか、おおよそ自らの魂の叫びとは無縁なことに気を囚われてしまい、
ともすると装飾的にあるいは画面効果に終始してしまうことがしばしば見受けられます。その意味で赤松亜美の作品は
いささか情緒的なきらいがあることをあえて記したい。もちろん優れた作品であることには間違い無いが更なる高みを
目指してほしいと言う気持ちを込めてのことだ。他方、大賞の作品は多くの審査委員の指示を受けたことに間違いないが、
優秀賞などの多くは特定の審査委員の大いなる評価を受けたものもあり、極めて個性的なそれが存在する。平田守の作品は
力強いマチエールと迸る情熱が印象的、神藤リタの作品は木版画を思わせる独特の画風で生命のうねりをも表現、木子李や
isakoisakoの抽象作品は深淵な世界観を表現し、瀬川 寛、オオムラショウイチの風景を俯瞰する空間感にも魅力を感じた。
柴 愛実、松田航苹の画面全体を同質なものとして捉え物語性を重視した作品にも注目した。今回の出品作品は全体として
レベルが高かったが、一つだけ苦言を、作品の大きさはそのまま主張を大胆に具現できるのだから、訴求力を高めるために
出品ルールの最大サイズに挑戦してほしいと思う。




中川正美 [アートライター]

年齢制限があるコンペティションが多い中で、ACT大賞展はS30号までの平面作品という条件のみによって多様な表現の出品作
が集まりました。100点あまりの2次審査に進んだ作品は規定最大サイズの30号が多く、見応えがあると同時に応募者の意気込
みも感じられました。

ただ、全体的にレベルは高かったのですが、他とは違うと思わせる抜きん出た作品が見受けられなかったように思います。
そんななか、再優秀賞の赤松亜美さんの作品は、具象と抽象の狭間における表現の美しさと作品の仕上げの丁寧さが際立っていました。

今回、初めて審査員を務めるにあたって、新しいアーティストや表現を意識し、これからの可能性を感じさせる作品に注目
していました。画面いっぱいに子供の頭部を描いた三上今さんや、細密さと動きを兼ね備えた線表現の笹本明日香さん、
力強い人物像を描いた松田航苹さんの作品が特に印象に残りました。ただ全体を通してここ数年の流行のような作風は
見受けられず、どの作品も自分の表現を追求していたと思います。今回応募された作家の今後の活動を楽しみにしています。
















【一次審査通過作品】
2025年4月10日(木)〜4月13日(日)の期間、二次審査(最終展示審査)として作品がギャラリーにて展示されます

A-02 森野月
A-03 蛭田憲一
A-05 Harunobu
A-09 中村 天嶺
A-10 宮原明日香
A-13 isakoisako
A-16 江口らな
A-17 丸山華澄
A-19 宝条なつめ
A-20 神藤リタ

B-01 森下哲郎
B-03 MAYUMI YAMASE
B-05 hachi
B-11 テイデン
B-12 テイデン
B-14 erimokotu
B-15 aryon

C-03 敦賀
C-05 takahashi.ayumi.
C-06 ミゾ
C-10 北川雅光
C-15 オオムラ ショウイチ
C-18 野呂 昭仁

D-01 谷 明
D-03 伊藤倫
D-05 山川孟志
D-06 NISU
D-08 Okina Yamamoto
D-10 卜夢葉
D-11 TETSU
D-15 片山香帆
D-16 片山香帆
D-17 勝間 一衣
D-20 大滝有希子

E-02 それいゆ
E-03 中山 愛美
E-06 丹羽めぐみ
E-07 御山 恵実
E-10 笠原 彰人
E-11 瀬川 寛
E-14 藤高 昇太
E-15 柴愛実
E-16 nakawo
E-19 いのとみか
E-20 赤松亜美

F-01 Ryoya Wada
F-02 栗田なおみ
F-10 大竹 奨次郎
F-11 岡本ヨシヒロ
F-12 ヨシダユイノ
F-13 中谷 優大
F-15 城下 万奈
F-19 Ana Jovanovska
G-04 初英佳
G-06 めじっく
G-08 小野 三月
G-09 大塚里菜
G-15 高井美雨
G-17 高木京子
G-18 音舞里
G-20 澤田久奈

H-02 BoBo
H-04 ananda
H-06 かのうあすか
H-07 かのうあすか
H-12 ハルノ
H-13 高碕真
H-14 夏川結糸
H-16 平田 詩織
H-17 大橋恵奈

I-03 虫口夢(バロンド)
I-05 荒井 真
I-06 古垣聖射
I-07 古垣聖射
I-12 三上今
I-14 鍵本 大
I-15 山口あかり
I-17 ナガタコウタロウ
I-18 松田航苹
J-01 木子李
J-04 渡部直也
J-05 平山彩子
J-07 黒木 豪
J-09 林拓哉
J-10 水井友仁
J-15 Dans Wong(王子文)
J-16 おおはましのぶ
J-18 顔湛
J-20 長谷川ヒロキ

K-01 北島瑞穂
K-03 中村 雄二
K-05 市川茉友子
K-06 富樫ゆきの
K-07 今井 裕基
K-09 小西英佑
K-12 河野菜穂子
K-15 笹本 明日香
K-16 モリタ モモコ
K-18 打川朋子
K-20 福田 沙千代

L-01 平田 守
L-02 平田 守
L-04 KAE SATO


会場の様子をアップしました!




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